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シンプルライフと日和やの本棚

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2015年 04月 18日

魔法の言葉と『数学の言葉で世界を見たら』

「数学の言葉で世界を見たら」は、幻冬舎plusというwebマガジンで、
隔週で9か月の間連載していたものがベースとなっています。
本になるとこんなにボリュームがあったのか、とあらためて驚きました。

連載時から毎回楽しく読み、数学の楽しさや面白さが、
内容と文面から伝わってきました。

父から娘に贈る数学~と副題にあるとおり、
丁寧に語られながら綴られた本書は、
これまでの大栗先生の著書が、ですます調だったのに対し、
である調で書かれて、趣を異にしています。

web連載時にはないイラストとコメントが本全体を、
やさしいものにしていると感じます。

いつもながら、文章は読みやすくわかり易く、とにかく丁寧。
ものすごく基本的なことを書いてくれるのは、
ワタシには本当にありがたいことです。
(例えば、確率をP(m,N)と書く、Pは英語で確率を意味する”probability”の頭文字で、と解説)

また、出版を記念して東京の2か所(池袋と新宿)で講演会がありました。
3月31日の朝日カルチャーセンター(新宿)の講義に参加しました。
118時30分から2時間、本の内容から素数の話を中心に興味深いもので、あっという間でした。

本を読んでいても、やはりお話を聞くというのは入り方が違うものだと思いました。
本には書かれていない話に飛躍したり、
質問が出たりすると、新たな発見があります。
双方向であることが重要なことがわかった気がしました。



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各章の感想です。


はじめに

数学が物事を正確に表現するために作られた言語、という表現、なんとうまい表現なのでしょう。多くの人々が教育を受ける機会を持つことで、多くの問題が解決するアイデアが生まれてくる、21世紀はチャレンジであり、チャンス。この言葉を子どもたちに届けたいものです。


第1話 不確実な情報から判断する

確率というのは、条件によって変わるもの。数字をうのみにするのではなく、その背景を考えて確率をみることを心がけたいと思いました。


第2話 基本原理に立ち戻ってみる

この章で(-1)x(-1)=1 になぜなるのかの説明で、分配則、結合則を使うことで導き出されたことに驚きました。また、連分数も面白く、円周率の近似値や暦を作るために使われることに親近感を覚えました。偉大な数学者たちでさえ負の数に納得できないと聞いて胸をなでおろしました。


第3話 大きな数だって怖くない
人類はどれ位二酸化炭素を排出しているか、などのフェルミ推定の話では、ときには大雑把でいいということに、大きな数をべき乗で表現すると比較がしやすくなることに、あらためて納得です。

第4話 素数は不思議
数が表情豊かに見えました。篩にかかったりや三角形に並んだ数。10種類の数が組み合わされ、それは無限につながるなんて浪漫です。素数の歌も大好きです。

第5話 無限世界と不完全性定理
ホテル・カリフォルニア(イーグルス、懐かしい)という架空のホテルに様々な数が訪れる話から、数そのものの不思議世界に迷い込みました。順序立てて考え進める基本概念について考えました。子どもと算数の論理問題を考えた時のことを思い出しました。

第6話 宇宙のかたちを測る
古代ギリシアから現代までの幾何の発展を追いながら、宇宙にのかたちが見えるところまで見事にたどり着きました。。好奇心はいつまでも持ち続ける人でいたいと思いました。図から式、具象から抽象へ変換できる、関連があることを若き自分に教えたい。

第7話 微積は積分から
前章に続き、高校時代に微積分のこのお話を聞きたかったー。アルキメデスのはさみうちと近似するということの説明でいろいろスッキリしました。

第8話 本当にあった「空想の数」
imagery number、人間が空想した数。日本語で虚数 (単位 i で表す)は絶妙なネーミング。虚という漢字が2乗すると負になる数にしっくり。また、2つの実数(a,b)を組み合わせて複素数、ふたつなのにひとつ、と考えて当てはめていくとは。図が式に変換できたり、数学のは置き換えの連続。

第9話 「難しさ」「美しさ」を測る
ガロア、凄すぎます。この章は数式満載。方程式の難しさを測る方法を完成したガロア、ほかにもたくさんの数学者が登場しましたが、ガロアは群を抜いてます。数学の対称性も不思議でした。
幸せに生きていくための魔法の言葉が数学、というとが通して読むと頷けました。
「ふーっ、楽しかったー」

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#871 市内の桜がようやく三部咲きです。きょうは花を買いました






by hiyoriya1410 | 2015-04-18 23:11 | 読書のまわり | Comments(0)


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