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シンプルライフと日和やの本棚

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2015年 05月 11日

一枚の布と【三宅一生 デザインのココチ】

4月23日にNHKのBSプレミアムで
三宅一生 デザインのココチ】という番組が放送されました。

新作の衣服を身に着けて踊る姿が美しく印象的な番組です。

⚫︎
白い静謐な事務所の風景。
書棚に雪舟、ジャコメッティ、草木染、日本刺青図譜、韓国の仮面の背表紙。
机の上に 白い紙の折り紙。

らくちんがあたりまえ 着ることが苦痛にならない衣服。
三宅一生、そのデザインのココチとは。

(オープニング)

2014年5月、パリ。
カルティエ財団の展覧会に照明を出品、服と同じように折り畳み可能。
インタビュー、フランスの子どもも折り紙を知っている。

9月、新しいプロジェクトが始動、20〜70代の人々がチームとなって
四角をテーマに服つくりに取り組む。

一枚の布。
折り紙の服のために作った再生ポリエステルで、
折り紙のように1枚の布で服をつくっていく。

「ここは道場のようなもの」

人が着ている状態で、布を切り離したり足したりする。
すると、今までみたことのないフオルムが現れる。
三宅さんはモデルに着心地を聞き、表情を気にする。

「どう心に響くか考えたほうがイイね。うれしい服がいい。
(着る人とが)らくちんかな、それが重要。
 ヒッピー、Gパン、Tシャツとらくになったけど、もっとらくちんに。
 自然に自由にらくちんに」

折ることで二次元の平面が、三次元の立体に変わる瞬間。

(モデルが現れ、持ち上げて身に着けて踊る、黒と金のショートドレスがゆらめく、驚きと機能美がある)

三宅一生さんは広島出身。
母が大漁旗で服を作ってくれた。
市内にイサムノグチの橋があって、デザインの力を感じていた。
そしてもうひとつ通学路に気になる場所が洋裁店だった。

美術大学卒業後27歳でパリへ渡る。
高級仕立服の店で修業し、文化の厚みに圧倒れながら模索が続く。
1970年に独立、辿りついたコンセプトが、1枚の布。

人と体の間に生まれる間を意識し、シンプルで軽く動きやすい。
そして生まれた、代表作プリーツ。
あらゆる暮らしに溶け込む服になった。



「モードの世界でもない ファッションの世界でもない ただの衣服の世界」

そして21世紀版が折り紙の服。
これまでに「折る」衣服を200点つくってきた。

モデル「折ってあると動きやすい」

「折ることで束縛されない違う間ができた、まだまだ可能性が膨らむ。
 なまじのものでは満足しない」

長年、日本の手仕事の産地を訪れてきた三宅さん。
日本の手わざは、機能と美しさが融合する。

白石和紙の産地にて職人と話す姿。

これまで伝統の手わざを生かした、紙衣(和紙と布を合わせた衣服)、しじら織(伝統の織の技術で)刺し子(柔道着のようなジャケット)を発表してきた。

山形・新庄の縫製工場。
ここで折り紙の衣服がつくられる。
難しい複雑な要求にこたえてくれる所。
職人「変わったデザインがくるのが楽しみ」

「日本の技術者は、一生懸命にやってくれる、あきらめない」

(日本の手わざを生かした六角形の服、横に引いていくと衣服になる)
(伝統と革新の技がさえる上質なジャージ素材の円をモチーフにした衣服)
(匠の工夫が光る染め技、うすいそら色と鮮やかなスカイブルー)

オランダ国王王妃を21-21デザインに案内する。
長身大柄なふたりに圧倒された、と語る。
おふたりから受け入れる力の大きさ、カラーセンスの良さに感心する。 

「でかいのいいな、と思った、世界に出ていくのに」

「普遍的な服、の一方で枠をこえる仕事を若い人にしてほしい
 1325.の服(折り紙の服)は絵に描くことができない。
 実験しながら服をつくることの面白さを伝えたい
 トレンドファッションを作っているのではなく表現としてやっている」

眼を輝かす提案があった。
板倉裕樹さんは理工学部出身、新しい折の構造を考え出した。
四角が五段つみあがったドレス。

「襟の工夫でいろんな着方ができる、色彩もいい。
 くやしいけど直すところがない」

(嬉しそうな三宅さん)

「普遍的な美の打ち立て方を機能とか含めて彼らと勉強していきたい。
 こんな絶望感が漂う時代で、こうやったら面白くなる、といことがぼくの目指すところ」

四角いジャケット、5枚の服を合わせて1つの四角になる服、プリーツの四角い服など、
新しい秋冬の124アイテムが完成。

「日本の美しいものは、頭と手を同時に使う。職人根性で、続けていかないといけない」


(新作の衣服で踊る人たち、たたまれた衣服はすべて四角。美しい佇まいの衣服たち)

「あっ、こんなものあったのね。くらいでいいんです。食べ物と同じ。
 食べ物は身体をつくり、服はまた感情も精神も関係してくる。
 服に過大な、たかが服でしょ。
 面白いと思っているので、着る人の気持ちはどうかな、って思う。
 常にに気持ちを送りたい」


たかが服、と言えるところが凄いです。
本来の仕事とは、そうしたものである気がします。
その仕事に対して精神誠意取り組むからこその言葉。
過剰に自分を誇示しない、その時できる最上のものを提示する、
まさに職人気質、カッコいいです。
どんな分野でもよいので、そういう人になりたかったんですけどね。


一枚の布と【三宅一生 デザインのココチ】_c0345411_23175150.jpg
ISSEI MIYAKE HPより


#859 1325. の衣服触ってみたいなぁ、着たら踊ってしまうかも


by hiyoriya1410 | 2015-05-11 23:17 | 身辺雑感 | Comments(0)


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