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2015年 09月 16日

経世済民と「龍ーRON」

経世済民の男」というドラマをNHKが放送90年ドラマとして放送中です。
録画してはあるのですが、まだ見てません。

でも、ちょっとひっかかったのが、
「経世済民」という言葉。
「経済」という言葉の語源になっているようです。
中国の古典に登場し
「世を経(おさ)め、民を済(すく)う」の意。

⚫︎
それで思い出したのがこちらの漫画。
村上もとかの漫画「龍ーRON」。


昭和初期の日本を舞台に(のちに中国へ)、財閥の一人息子として生まれた青年押小路龍を主人公に、
彼の周囲の様々な人々が織り成す群像劇を中心に、映画や満州国設立、実業界など様々な要素を描き、
1991年から15年間連載した作品です。

物語の中で龍が航空会社を作ろうと奔走している時に、
求人広告を出すのですが、それをみて轟さんというヤクザの親分が応募してきます。
彼が河上肇の「経済学大綱」という本を読み「経国済民」(漫画ではこうでした)
の志に打たれたというのです。
結果、彼は6千人という応募の中から龍に採用されます。
(14巻大空の夢、第3話若親分の回)
経世済民と「龍ーRON」_c0345411_21370748.jpg
この社員集めをするくだりは面白いなぁ、と。
これは、という人には徹底して口説く、熱い夢を語るという正攻法で。

漫画は、大正末から激動の昭和を描き、平成まで。
剣道にあけくれる十代で出会った田鶴てい(のちに映画女優・映画監督)との恋、
そして自分の出生にまつわる謎を追って、物語の舞台はは京都から中国へ。

史実とフィクションの組み合わせが絶妙です。
映画の場面は特に、田鶴ていを描きながらこの頃の映画について、
よく書いています。
ていのモデルは日本初女性監督となった坂根田鶴子。

歴史上の人物が名前を変えて、たくさん登場しますが、関わらせ方など、
歴史の風景の中に、自然と溶け込むフィクション像がいつも作られています。

ちなみに知名度ではこちらかな。
TVドラマにもなったJIN。
まさかあんなにメジャーなドラマになるなんて。

原作とは一味違う出来ながら、本当によくできたストーリーでした。
高視聴率でいろいろな賞をたくさん取りました。


村上作品は、タイムスリップや秘宝といった奇想天外な設定が、
奇想天外でなくなるリアルな人間像を、描いているからでしょうか。
どの主人公、カッコよすぎますが、
よすぎるくらいがやっぱりいいのだと思います。

いつもながらラストシーンが映画のようでした。
蛇足ながら、村上もとかさんのおとうさまは映画会社の美術部のお仕事をされていたはず。

経世済民と「龍ーRON」_c0345411_21411089.jpg
#761 秋は紫の花が多いように思う



by hiyoriya1410 | 2015-09-16 23:33 | 身辺雑想 | Comments(0)


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