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2017年 01月 02日

手塚治虫のブッダと『真理の探究 仏教と理論物理学の対話』(くらし部門)

新年おめでとうございます。

新しい年があけました。
大晦日は年越しの鮭をいただきました。

以前(25年程前?)雑誌『サライ』の特集で
東日本の年取り魚は「鮭(サケ)」
西日本の年取り魚は「鰤(ブリ)」
と別れていることを知りました。

日本の本州中央、ホォッサマグナを境に
風習が分かれているようです。

魚の保存方法が限られていた時代、
立派な外見を備えていたのが、
鮭と鰤だったようですね。

新潟は特に村上の鮭が有名です。
子どもの頃は年末に新巻き鮭が届いて
それをさばいていました。

糸魚川・静岡構造線は
食べ物や文化・風習、言語など
様々なものの境界でもあります。

食なら、
出しの色、味噌(味)の違い
ウナギの開き方(背と腹)
お餅の形(丸と四角)
肉じゃがの肉(牛肉と豚肉
いなりずしの形(三角と長方形)

珍しいところでは、
エスカレーターの立ち位置が東と西では逆なんだとか。


自然の地形が文化や生活に大きな影響を及ぼしているのは
とても面白いです。

そういえば、三月の節句雛人形の位置も逆になりますね。
どっちもアリ、なんです。

日本は懐が実は広い。



新年初の本はこちら。

副題に「仏教と宇宙物理学の対話」とあります。

理論物理学者の大栗博司先生と
仏教学者の佐々木閑先生が
ご専門の講演と
それぞれの分野について質問する対話を
まとめたものです。

2016年に名古屋・中日文化センターの開設50周年記念講座で
おふたりの対談が企画され書籍化されたものです。


【以下裏表紙の紹介文】

人生に生きる意味はない。

大いなる叡智が告げる、この世界の真実

心の働きを微細に観察し、人間の真理を追究した釈迦の仏教。
自然法則の発見を通して、宇宙の真理を追究した近代科学。

アプローチこそ違うが、この世の真理を求めて両者が到達したのは、

「人生の目的はあらかじめ与えられているものでなく、 そもそも生きることに意味はない」

という結論だった。

そのような世界で、人はどうしたら絶望せずに生きられるのか。
なぜ物事を正しく見ることが必要なのか。

当代一流の仏教学者と物理学者が、
古代釈迦の教えから最先端の科学まで縦横無尽に語り尽くす。


仏教と物理学、
共通点がなさそうですが、
佐々木先生は京都大学工学部から転科して仏教学をされています。

P96-97のアビダルマによる「この世」の構成要素(七十五法)は
佐々木先生がおっしゃるように、素粒子の一覧表のようです。

そもそも仏教徒は何か、では

1 超越者の存在を認めず、現象世界を法則性によって説明すること
2 努力の領域を肉体ではなく精神に限定すること
3 修行のシステムとして、出家者による集団生活体制(サンガ)をとり、
一般社会の余りものをもらうことによって生計をたてること

釈迦の教えから遠く離れたて出来上がった、
日本の仏教の不思議。(日本だけではないが)

修行システムとしてのサンガを導入できなかった日本の仏教。

自分の煩悩を修行によって消そうとする、消極的な仏教。
(キリスト教やイスラム教は広めようとしている)

佐々木先生のいう釈迦を聞いていると
手塚治虫の『ブッダ』が重い浮かびました。



王族の出だったからこそ
老病死について思い悩んだことだった、
というのはうなずけます。

食べるのに困る、生きていくのに困る
立場ではありませんから。

手塚治虫は釈迦の仏教を深く理解していたのだと、
この本を読んで、あらためて思いました。

大栗先生の仏教に関する発言は
いつもの著書とは趣が違って興味深く読めました。

仏教には神という絶対者が存在しない
煩悩のいちばん原因は、自分中心の誤った世界観
神秘性ゼロの哲学「アビダルマ」の世界観
時間とは「刹那」の単位で変化する現象の積み重ね
釈迦の仏教は利己的か
俗な心で人助けしてはいけない
般若心経はアビダルマを全否定
アビダルマに見る「物事を科学的に見ようとする姿勢」
生きる辛さは自分の知恵で解消しろ
自然の科学的理解とは神の設計図を正しく見ることが必要
生きる意味を自ら見つけることの喜びと困難

どきっとする見出しが並びます。

年初なので幸福について印象に残った部分を。

自分で目的をつくる人生がいちばん幸福だと思います。(佐々木先生)p186

自分の好きなことをやった結果、それが人類にとって意味のあるものだと気づいた。
こんなに素敵な人生はないと思うんですね。(佐々木先生)p186

生きている、存在していると感じることは、すなわち意識があるということです。
意識が情報処理の主体として脳が想定したモデルだとすると、
その機能は、語幹からの情報を分析して、世界をよりよく理解するということです。
よりよく見てよりよく考えることが、意識の機能を発揮することであり、
それこそが人間にとっての幸福であると思います。(大栗先生)p192


釈迦と物理学が教える「世界の正しい見方」を
指示している本です。


久しぶりに『ブッダ』も読みたくなりました。



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#600 初詣に行きました。天気雨で虹



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by hiyoriya1410 | 2017-01-02 16:42 | 暮らしと科学 | Comments(0)


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