シンプルライフと日和やの本棚

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カテゴリ:読書のまわり( 32 )


2018年 02月 13日

石牟礼道子さんと『苦海浄土』

2月10日、石牟礼道さんが亡くなりました。


『苦海浄土』。
ずっと関心がありながら近づけないものでした。



2016年にEテレ【100分で名著】で取り上げられ4回の番組をみました。

その番組で朗読していてた文(以下引用)を聞いて、なぜか涙がでてきたものです。

「きよ子は手も足もよじれてきて、手足が縄のようによじれて、わが身縛っておりましたが、見るのも辛うて。
  それがあなた、死にました年でしたが、桜の花の散ります頃に。私がちょっと留守しとりましたら、縁側に転げ出て、縁から落ちて、地面に這うとりましたですよ。たまがって駆け寄りましたら、かなわん指で、桜の花びらば拾うとしよりましたです。曲がった指で地面ににじりつけて、肘から血ぃ出して、
『おかしゃん、はなば』ちゅうて、花びらば指すとですもんね。花もあなた、かわいそうに、地面ににじりつけられて。
  何の恨みも言わじゃった嫁入り前の娘が、たった一枚の桜の花びらば拾うのが、望みでした。それであなたにお願いですが、文ば、チッソの方々に、書いて下さいませんか。いや、世間の方々に。桜の時期に、花びら一枚、きよ子のかわりに、拾うてやっては下さいませんでしょうか。花の供養に」
(「花の文をー寄る辺なき魂の祈り」『中央公論』2013年1月号)


本そのものを読まずに、(きっと読んでも)なにも語ることなどできないのですけれども、
そしてやはり『苦海浄土』は「読めない」本なのかもしれません。

この時の番組の解説をしていたのは、批評家の若松英輔さんです。
彼が、こんなことをテキストに書いています。

私たちは必ずしもこの作品を読み通す必要はありません。「読めない」のは、そこで立ち止まらなくてはならないからです。読書は旅です。むしろ読み通すことのできない本に出合うことこそ喜びなのではないかと思います。「読めない」というのはじつに深遠な言葉との交わりであり、また豊穣な芸術の、あるいは人生の経験であることを忘れないでいただきたいと思います。



立ち止まる理由を自分ではわかっている気がします。

ご冥福をお祈りいたします。


#648 軽い小さな雪がたくさんふってきます
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by hiyoriya1410 | 2018-02-13 21:03 | 読書のまわり | Comments(0)
2017年 11月 01日

『黄色い本』と高野文子原画展とカズオイシグロ

高野文子さんの『黄色い本 -ジャック・チボーという名の友人ー』

数年ぶりに再読。


新潟出身に独自の世界を描く漫画家さんは多いですが、その中でも異色、というか私には特別。

『絶対安全剃刀』は手塚治虫の『火の鳥』と同等の衝撃。

同年代であること(1957年生まれ)

コレを描いて欲しかった!というものを描いている(と勝手に思っている)

センス

ほとんど長編をかかない


とか…結局はただの「憧れ」かも。

物語のは5部構成。

一、 田家実地子
二、 通信
三、 集会
四、 行進
五、 帰国

『チボー家の人々』全五巻の小説のなんともいえぬ書き文字とともに実地子の日常が描かれています。
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進路に悩む高校生のリアル。

ありふれた日常の景色に家族の言葉。

再読して最も印象に残ったシーンがこちら。

終わりから4頁まえ、実地子と父の会話。

父 「実ッコ」「その本買うか?」
実地子 「ええ?」
父 「注文せば良いんだ」「五冊かいますすけ取り寄せてください言うて」
実地子 「いいよう もう読み終わるもん ほら」
父 「好きな本を」「一生もってるのもいいもんだと」「俺は」「思うがな」



父 「実ッコ」「本はな ためになるぞう」「本はな いっぺぇ読め」
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全編に流れる”新潟弁”も新鮮。

使わないけれど意味は分かる。

幼い頃の経験が刻まれているというか、残っています。

「るすいしったの」は「留守番してたの」
「痛とねかったろう」は「痛くなかったでしょう」
「笑わいる」は「笑われる」
「いっぺあるぞう」は「たくさんあるぞ」
「いんやね」は「いいえ」

もうひとつ。

編み機を操る実地子。

(横に動かしながら編んでゆく、あの編み機が懐かしい)
(小学生の頃、叔母さんが使っていたのを覚えていて、なんて不思議なものだろう、と思った記憶がある)

その実地子に父が言います。

「どうだ おめの歳でそこまで編み機を賢(さか)せる者はそう居ねだろう」
「おめが将来 どこに勤めることになるだか 俺はわからねども」
「おめでえば 編めねえような セーターを編む人に」
「なれば いいがなぁと」
「俺は」
「思うんだ」

「創造性のある?」

「おう」

「そうだね」



高野文子さんの本についてこちらでも書きました。



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その高野文子さんの原画展が、東京の「昭和のくらし博物館」で開催されています。
テーマは「昭和のこども」。
12月24まで。

新潟日報2017/20/27文化面に里村洋子さんの寄稿があって、この原画展を知りました。

会場で高野さんと対談するイベントがあったようです。

生まれ育った場の記憶や情景を作品化するにあたりもっとも大切にしているのは何か。
という質問に

「雪の湿り気も含む湿度や匂い」

とありました。

今年のノーベル文学賞を受賞したカズオイシグロ氏も、子供の頃育った記憶を留めおきたいと小説を書く動機をあげていました。
方言同様、刻まれた記憶は人を動かす動力源になるものなのでしょう。
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#671 秋の空は心地よい。「秋うらら 右に左に さゆさゆと」

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by hiyoriya1410 | 2017-11-01 10:35 | 読書のまわり | Comments(0)
2017年 09月 07日

発酵に関する本あれこれ

発酵食のことを調べています。

とりあえずまとめて図書館で探した本についての忘備録。



理由がわかると面白くなるのが料理です

■料理科学のなぜ?

■塩麹と甘酒のおいしいレシピ

■発酵はマジックだ(以前も借りた)

■発酵レストラン

■甘酒で作る麹のおいしいおかず

麹でおいしいスイーツを作りたい、かな

■塩麹&甘酒で作る、麹のおいしいスイーツレシピ

■発酵美人

■麹スイーツ

■すべてがわかる!「発酵食品」

■おいしい発酵食生活

■パンの世界

■ホームベーカリーでつくるシニフィアンシニフィエの高加水パン&ドイツパン

■パンと料理 おいしく食べる最高の組み合わせ

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#679 やっぱり行きたかったスピッツライブ



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by hiyoriya1410 | 2017-09-07 23:46 | 読書のまわり | Comments(0)
2016年 12月 19日

メープルシロップで大学いもと『誕生日大全』

オーブンでさつまいもを焼いてから作る大学芋は癖になる美味しさ。

さつまいもは細切り(お好みで時々拍子切りにもします)して
ココナツオイルであえます。
塩とシナモンパウダーをまぶして
オーブンで20分ほど。

餡は醤油とメープルシロップでつくります。

鍋に入れて中火より強めで、液がワラワラ湧いてきたら
焼きあがったさつまいもを入れてからめて
出来上がり。

さほど、さつまいも食べなかったオットセイが
このグリルさつまいもは、パクパク食べます。

細くすると水分もかなり抜けるので
かりんとうのようになります。

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先日のSHSの本屋さんで、面白く座り読みしたのは
『誕生日大全』。
見開きで365日1日づつ書かれています。

(以下はamazonより抜粋)
本人の性格・素質
隠された自己
適性のある仕事・職場
恋愛運
友人・家族関係などを診断。
全米で圧倒的な人気を誇る著者が手がける、
「占星術」+「数秘術」を融合させた画期的な方法により、
各国でベストセラーに。相性占いも網羅し、
あなたの恋人、友人、力になってくれる人、運命の人、敵、ソウルメイトもまるわかり。
増補版では、「この日に生まれた有名人」リストをリニューアル。


珍しい項目にソウルメイトの誕生日があります。
中々知る人の誕生日などない、などとみておりますと
なんと父の誕生日がワタシのソウルメイトにありました。

入院中の父に面会に行き、
その話をすると、
「ソウルメイトってなんだ?」

この日はかなりはっきりと覚醒していました。

入院から9か月。
この世とあの世を行きつ戻りつするような日々を
送っています。



#609 先日のSHSの本屋さんで素敵な本を見かけました。良寛さまの筆で、百人一首が万葉仮名で書かれています



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by hiyoriya1410 | 2016-12-19 22:30 | 読書のまわり | Comments(0)
2015年 11月 11日

「棒になった男」の現代国語プリント

昨夜ハチが現代国語のプリントを読んでおり、
それが、安部公房の「棒になった男」ではありませんか。
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稲刈りを終えた田んぼと曇の空

短篇ですから、B4サイズ1枚におさまっていました。
冒頭、屋上から落ちて棒になってしまった男のはなし。

安部公房を知ったのは中学の教科書(のはず)。
その斬新さにショックを受けて、
他の作品もあれこれ読みましたっけ。


ハチ「赤い繭、が教科書にのってたんだよね」
「安部公房、高校の教科書にね〜、文庫本持ってるよ」
ハチ「へぇ〜あるんだ、ほかのも読んでみたいな」

廊下の本棚にある文字の 小さな紙が少し変色した文庫本。
発行年をみると、昭和55年から57年のものでした。
短篇集は2冊ほどしかなく、それを読んでみるとのこと。
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手持ちの文庫本

ハチに「棒になった男」の感想を聞くと、
見事にテストの解答になりそうな答えで笑ってしまいました。
そうか、棒の姿は死んだ姿、地獄での現世の立場を具現化したもの、的な
こと言ってたかな〜、そうなんだ……

そんな話をハチとしました。
当のワタシ、棒になってしまった、こと以外覚えておらず、
読みかえすとなるほど。
40年ぶりに再会するとは、感慨深い夜でした。

残念ながら、ほかの長編作品は、
ぱらっとめくってみましたが、とても読めません。


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#721 さいころ柄のブックカバーがお気に入りのハチです



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by hiyoriya1410 | 2015-11-11 23:57 | 読書のまわり | Comments(0)
2015年 10月 29日

「ホワット・イフ?」日めくり読書から本棚へ

1年前にブログをはじめました。
とりあえず毎日描く事を目標にしました。
大好きな絵本、これまでに読んできた本、たまたま出会った本、
これから読みたい本、いつも使っている本、
時々は映画やTV番組について、
番外編の大地の芸術祭についてなど
感じたことや共感したことなどを綴ってきました。
思い入れの深い本や、好きな本ほど書くのに苦労したように思います。
いまはたくさんの情報発信媒体がありますが、
「本」というカタチが好きです。
どの本もたくさんの人の手を経て本の形になります。
読んでいるといろんな人の思いが伝わってくるようです。
ここで取り上げた本の著者にコメントいただいたり、
Twitterで紹介された時にはびっくりしました、ほんとに。
また、十数年ぶりに昨年再開したピーナツさんにFacebookでコメントをいただいたり。
読んでいただけることはとてもうれしいです。
世の中には本があふれています。
その中で手に取ることができたのも何かの縁。
日々の出来事、記録や覚書として、本棚に並べていけたらと思います。

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先週買った本がこちら。
科学読み物で1位(amazonサイト)です。



サイエンスコミュニケーターのランドール・マンローさん、
インターネットコミック作家でもある。
彼のウェブサイトに寄せられた、突拍子もない質問の数々、
元NASAの研究者である著者が、物理と数学とマンガで、真剣に答えた本です。

副題にもなっている「光速の90%の剛速球をバッターに投げたらどうなるか」
ほかにも
・人類総がかりでレーザーポインターで照らしたら月の色は変わる?
・お茶を必死にかき回したら沸騰させられるかな?
・どのくらい高い空から落とせば、その熱でステーキが焼けますか?
・元素周期表を現物の元素のキューブを積んで作ったら何が起こる?
・星の王子さまがいたような小惑星がじっさいにあったら、居心地はどう?
・人類全員がちょっとのあいだ互いに没交渉になれば、風邪が撲滅できるのでは?
・ヨーダのフォースパワーってどのくらいですか? ワットでいえば何ワット?
・深海底に穴をあけたら、海水が抜けるにつれて地図はどう変わる?
・Facebookユーザーのうち、死んだ人の数が生きてる人を追い越すのはいつ?

棒人間が描かれて、これはきっとハチも気に入りそうです。

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#728 誕生日に夫ドッコイにもらった花束、ワタシ好みがわかるようになってる


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by hiyoriya1410 | 2015-10-29 23:33 | 読書のまわり | Comments(0)
2015年 10月 28日

プロダクトデザインと科学と『デザインの骨格』

山中俊治さんはプロダクトデザイナー。
小さなもの(ネジとか時計)から大きなもの(トンネルとか自動車)まで、
デザインするのです。

代表的な仕事は、suicaの改札機、日産自動車のインフィニティ、義足・・・
改札機は実験と観察で得た13.5度という角度、これで万人がICカードをかざしやすくなったといいます。
自動車や義足のように固い素材のものですが、柔らかさを感じます。(表紙の時計も)




この本は2009年4月から2010年末までのブログをまとめたものです。
9つのテーマにわけて再構成されています。

第1章 アップルのデザインを解剖する
第2章 デザインを科学する
第3章 コンセプトを形にする
第4章 スケッチから始める
第5章 モノ作りの現場から考える
第6章 人と出会う
第7章 骨を知る
第8章 人体の秘密を探る
第9章 漫画を描く、漫画を読む

中でも気になった項目。(太字は本文引用ママ)
iphoneを使いこなす赤子~アップルがひとつボタンにこだわる理由がここに(第1章)
iphone3Gのボディの秘密~プラスチックのゆがみを少なくするための見えないところまでおよぶこだわり、美しい形の実現にアップルの執念(第1章)
雨はなぜ痛くないのか~空気抵抗があるから。身の回りのいろんなものが、シンプルなルールで動いていることとに感動、「物理学って美しい」とはっきり意識したまったく同感です。ワタシが物理にはまったのも温度ですから(第2章)
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水のかたちにひそむ数学~蛇口から細く水を落とすと先に行くほど細くなる、を数学的に解説(第2章)
科学的思考と(○_○)~絵文字のような顔の人は世の中にいないのに認識できる、科学は案外曖昧。寺田虎彦の「漫画と科学」に詳しい(第2章)
青空の大きさ~自分の目が届く世界の大きさについて考えてみる(第2章)
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・第3章では手掛けてきた椅子、携帯電話、大根おろし器、時計、自動車、車両、動かないロボット、tagtypeキーボード、デジタルカメラ、サービングツール、通信モジュール、SIMについて語られます。
・細身でしなやかな武道の達人~日本人デザイナーの特徴のひとつ、大リーガーのイチローは日本の美意識の体現者。国によってデザインにも傾向がある(第3章)

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専用シャトルバスと社員食堂がだめだった

形を描こうとしてはいけない~構造を書くことによって自然に形が生まれる。(第4章)
・スケッチに込められる動き~は、必ずしも描かれる対象の動きではない。むしろ観察者の動きこそが込められる
。(第4章)
わたしがなんとかしようと思うとき~帆のようなエアコンのデザイン、かっこいいです(第4章)
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よく知っている物ほど難しい~絵を描くというのは、見る技術です。語論理的思考の優秀な人間ほどしばしば「かたち」を見ていない事に気がつきました。絵を描く訓練は、わかっている物をあえて捉えなおす作業です。文章においても論文と詩が違うように、絵においても正確にかたちを描く事と、表現者として
感動させる事は全く違います。
・楕円円や楕円を描くには空中で描きながら紙に着地する、なるほど
・脳内メジャー~モノ作りの現場は計量感覚がかなり重要。「すごく薄い」ではなく「3.5から4ミリぐらいでした」といえるように(第5章)
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・第6章では出会った人たちにまつわる話。
・第7章はタイトルにもある「骨格」、骨について。「骨」展について。
走ることは跳ぶこと~アスリート用義足をつけたランナーが走る姿は、まさに跳ぶ(第8章)
数万人の足になる~この義足を使って走る人は、数十人かもしれない。しかし、その人たちが大観衆の前で走れば、その瞬間に何万人もの足になるでしょう」は障碍者医療の関係者の弁(第8章)
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ふたつにひとつ以外の選択~大学生だった頃、漫画家になるかエンジニアになるか、とても迷いました。その結果どちらも選ばず、工業デザイナーになるという、ちょっと異方向の「アイデア」に飛びつきました(第9章)
漫画を世界に普及させた原動力~印刷、紙質が最低レベル、独特のコントラストの白黒画、この技法が世界中どの国で印刷しても物語世界が失われない、つまりキャラクターの魅力が保たれる(第9章)
浦沢直樹さんの「PLUTO」~手塚さんの「アトム」でとても好きな作品、浦沢作品はアトムの世界観を壊さず、見事。人間姿のアトムに心躍りました(第9章)

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項目には写真やイラストがついています。
デザイナーの人ってみなさんこんなに絵がお上手なんでしょうか。

巻末の5頁の山中先生の漫画が豪華なオマケです。
山中先生、漫画好きというのも嬉しい。

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#729 骨格、思い出した、ハチの絵。1本の線で描いてます


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by hiyoriya1410 | 2015-10-28 23:57 | 読書のまわり | Comments(0)
2015年 10月 19日

いろは歌と「千字文」

いろは歌は、すべての仮名を重複させることなく作られています。

いろはにほへと ちりぬるを
わかよたれそ つねならむ
うゐのおくやま けふこえて
あさきゆめみし ゑひもせす

色はにほへど 散りぬるを
我が世たれぞ 常ならむ
有為の奥山  今日越えて
浅き夢見じ  酔ひもせず  





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作者不明、11世紀ころから使われてきたようです。
ほとんどの人が冒頭部は知っているのではないでしょうか。
手習いの手本として近代まで用いられてきました。

いろは歌を知ってほかにもできないのかしら、
と思ってウィキペディアで見ると、ありました。

明治に36年に新しいいろは歌を募集して、選ばれたのが
鳥啼歌(とりなくうた)。

とりなくこゑす ゆめさませ
みよあけわたる ひんかしを
そらいろはえて おきつへに
ほふねむれゐぬ もやのうち

鳥啼く声す 夢覚ませ
見よ明け渡る 東を
空色映えて 沖つ辺に
帆船群れゐぬ 靄の中





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こちらは中国の手習い本。
表紙の説明より。
四字一句の250句でなる「千字文」は、中国古代より児童の文字を学ぶ初歩の教科書として広く利用され、日本では習字の手本としても古くから親しまれてきた。本書は千字文を口語に訳し、文選読みという古い読み方と、多くの興味深い逸話を含む李暹の「千字文注」の訳を加え、巻末に智永の真蹟本「真草千字文」を付した。


最初の一句。
一 天地玄黄 テンチのあめつちは ウエンタワウとくろく・きなり。
二 宇宙洪荒 ウチウのおおぞらは コウタワウとほいにおほきなり。

展の色は黒く、地の色は黄色であり、
空間や時間は広大で、茫漠としている。

語句の意味や解説が4頁にわたって詳しくあります。

二四九 謂語助者 ことばのたすけと いうものは、 
二五0 焉哉乎也 エン・サイ・コ・ヤ。

助辞というものは、
焉・哉・乎・也などである。
最後の一句。

人が身の回りのものに対して持つ遊び心、好奇心のなせる技なのでしょうか。
文字を見て、読んで、声に出して楽しいものになっていることに感謝です。

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#738 旅先で食べたスープカレーにはまってます。キャベツをたっぷり入れて、盛り付けるご飯を平たくよそって真ん中にたっぷりとカレーをかけていただきます




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by hiyoriya1410 | 2015-10-19 23:13 | 読書のまわり | Comments(0)
2015年 10月 10日

正解がある装丁と「鈴木成一 装丁を語る。」

10月10日は体育の日、でしたね。
ハッピーマンデーも結構ですが、
東京オリンピックが開催された日は、そのままのほうがよかった、
と思ってしまいます。

運動は定期的に取り組むべきなのでしょうが、
いまは、朝のラジオ体操くらい。

これまでにやったことがある運動・スポーツというと(社会人になってから)
ヨガ(本で高校生の頃)、ホットヨガ(20代渋谷でインド人の教室)、水泳・エアロビクス・ウエイトマシン(スポーツクラブに入会していた20代後半)、クラシックバレエ(恵比寿で30代前半)、チベット体操(30-40代不定期に時々)、水泳、気功法(30代夫ドッコイと知り合う)、ロードバイク(40代)、パワーヨガ(40代)、ウォーキング(40代)、スキー(40代)、ゴルフ(20代と50代)・・・といったところ。
ヨガだけで3回、好きなんでしょうか。
チベット体操もヨガみたいなものですし。

ついでに、これからやってみたいスポーツは、
テニス、トレッキング・・・あたりです。
さて、できるのでしょうか。


やはり読書の秋ということで本の装丁について。
本を読んでいると頻繁に出会う名前がありました。
それが、 装丁 鈴木成一



この本、装丁がいいなぁ、なんて思って装丁者をみると、
この名前をよく見ました。
実際その仕事量は凄い、の一言。
2010年の時点で8000冊もの装丁をそれまでに手掛けたというのですから。
25年間装丁の仕事をしている、年間320冊・・・

本書は2008年12月に首都大学東京で行われた講演を元に作られたもの。
これまでに装丁した本の中から、120冊を選んで「演出」意図を解説しています。
右ページに想定した表紙(主に)、
左ページに解説と判型、製本、資材、印刷・加工のデータがあります。
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120冊は9つの手法別に結果的に分けられた、とあとがきにあります。
①タイトル文字で伝える。
②イラストを使う。
③読後の印象から発想する。
④本の構造を利用する。
⑤著者本人、または関係する品を出す。
⑥本文中の素材で構成する。
⑦モチーフを形にする。
⑧アート作品を併せる。
⑨あえて何も使用しない。

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はじめに、でこう述べています。

 装丁には正解がある、と私は思っていまして、原稿を読めば、「本としてこうなりたい」というかたちがやっぱりあるわけですよ。個性をちゃんと読み込んで、かたちにする。飾りで読者の気を惹くのではなく、その本にとって一番シンプルで必要なものを明確に演出する。そのときに、いかに自分が新鮮に思えるか、わくわくできるか、ですね。そうやって作ったものって、やっぱりちゃんと伝わりますから。

だから、一見すると鈴木さんのデザインとわからないのだ、とあらためて思いました。
プロフェッショナルとは、こうした人をいうのでしょう。

#747 お気に入りの「数学の言葉で世界を見たら」の装丁も鈴木成一デザイン室でした






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by hiyoriya1410 | 2015-10-10 22:14 | 読書のまわり | Comments(0)
2015年 08月 29日

蟲愛づる姫君とナウシカと『いのち愛づる姫』

ちょっと風変わりなこの本は「朗読ミュージカル」。
JT生命誌研究館の10周年記念行事のひとつとして製作公演したもの。




原案は、人間を含むあらゆる生命と歴史との関係を読み解く生命誌、
という概念を提唱している中村佳子JT生命誌研究館館長。
童話作家の山崎陽子さんが脚本を書き、日本画家の堀文子さんが絵を描きました。
異分野3人の女性による生命賛歌です。

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蟲愛づる姫君、ともいわれる生き物好きの姫。
まわりの動植物との会話劇が絵本仕立てになっています。

蟲愛づる姫君は11世紀『源氏物語』とほぼ同じ時期に書 かれたとされている
『堤中納言物語』の中に登場します。

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本の最初の項目「虫め愛づる姫君」では、例えば

侍女「ひ、ひ、姫さま、そ、それは」

姫「なにをおどろいているの。これは毛虫よ。ほうら、みてごらん。なんてかわいらしいのでしょう。だれでも花やチョウばかり愛でるけれど、それはおろかなこと。うわべだけではなにもわかりませぬ。もとから調べて、それがどのように変わっていくのかを見きわめてこそ楽しいものを」

まさに生命誌の本質をとらえたものでしょう。

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中村さんはこの本の紹介で次のように書いています。

 卵から幼虫へ、さらに成虫へという変化を追うのは、発生生物学であり、しか も見かけにとらわれず本質を知ろうとするのが、本来の科学のありようです。 ヨーロッパで近代科学が誕生したのは17世紀ですから、それより600年も前 に、科学の精神をもったお姫さまが日本にいらしたというのは、なんともうれし いことです。
 それにもう一つ、このお姫さま、「人は、すべて、つくろう所あるはわろし」 と言って、当時上流階級の子女には当然とされていた、眉を抜いたり、お歯黒を つけたりということをしないのです。現代の言葉を使うなら、自然志向です。あ るがままをよしとし、小さな生きものが懸命に生きる姿を見つめ、それを「愛づ る」ことは、生きものを知る基本でしょう。

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続けて、「生きている」ということについて。
 現代科学は、ガリレオ、デカルト以来、生きものも含めて、自然を数式で書か れているととらえ、機械として解明していくことによって進歩してきました。生 命科学は生きものを機械をみなし、その構造と機能を解明すれば生きものがわか る、としています。しかし、38億年前に生まれ、これまで続いてきた生きもの は、歴史の産物、つまり時間をつむぎ、物語を語り継いできたものなのです。生 きものの中にある歴史を読みとり、生きていることを全体として、過程として捉 えていかなければ、「生きている」ことを知ることはできません。このように考 えている「生命誌」の原点は、まさにこのお姫さまにあります。

項目というか見出しは、
「虫愛づる姫君」「バクテリア」「ミドリムシ」「ボルボックス」
「カイメン」「クラゲ」「タイ」「松」「シダ」
とそれぞれ会話劇をくりひろげ、以下の「いのち愛づる姫君」に集約されていきます。

ものみな一つの細胞から
生まれたいのち
尊いいのち

三十八億年のむかし
生まれた一個の細胞
いのちの みなもと

これにつきるのです。

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「蟲愛づる姫君」で思い出すのが、宮崎駿さんの「風の谷のナウシカ」。
ワイド版の後表紙の裏に「ナウシカのこと」というコラムが寄せられています。
その文の中ほど


 ナウシカを知るとともに、私はひとりの日本のヒロインを想い出した。たしか、今昔物語にあったのではないかと思う。虫愛づる姫君と呼ばれたその少女は、さる貴族の姫君なのだが、年頃になっても野原を飛び歩き、芋虫が蝶に変身する姿に感動したりして~習慣とタブーに充満した平安期に彼女を待ち受けた運命はどのようなものであったろう・・・
そして終わり近く
~私の中で、ナウシカと虫愛づる姫君はいつしか同一人物になってしまった。
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この文章を覚えていて、この本を知って腑に落ちたのでした。
生命について漂うように考えを巡らせることができる時間になります。

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#777 一気に10月上旬ころの気候とか、半袖が寒く感じた1日





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by hiyoriya1410 | 2015-08-29 23:34 | 読書のまわり | Comments(0)