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2016年 03月 31日

「栄光への大飛行」の夢とわくわくすること

空を飛ぶことへの憧れ、
そして成し遂げるための試行錯誤を描いています。

絵のトーンは渋めで、どちらかといえば表情も大仰ではありません。
ですが、このお話にはとても合っていると感じます。
大人が主人公のせいでしょうか。
端正な絵柄が、本当の話なのだと淡々と語っているようです。

そして、飛行機の美しいこと。
柔らかい色合いといい、木や布の質感、
空を飛んでいる姿を見てみたくなります。


時は1901年、フランスのカンブレエという町に
5人の子どもと奥さん、ネコにイヌにオウムと暮らす、ブレリオさん。
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みなでドライブに出かけたある日、
空にぽっかり浮かぶ飛行船を目にします。
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たった一つの思いだけでむねがいっぱい。

「わたしも 空飛ぶ機械を作るとも。
大きな白い鳥のようなのをね。
みんなでがんばりにがんばって、ツバメのように
つーいつーいと飛べるようになるんだ!」
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それから作っては壊れを繰り返し、
はじめてちゃんと飛べるヒコーキを作ったのが
6年後の「ブレリオ7号」機。
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そして1909年7月25日、
海峡20海里ある英仏海峡初の横断に挑戦することになります。
パパの飛行機「ブレリオ11号」は、みごと37分の大飛行を成し遂げるのです。

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航空界の先駆者であるルイ・ブレリオその人の実話。
自動車のライトについての発明で身代を築き、
飛行機の開発と製作に注ぎ込みました。
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はじめてドーバー海峡を飛行機で越えた人が、
失礼ながら"おじさん"だったことに勇気をもらえました。

憧れるものがあり、そのために行動を起こす。
根気よく失敗を恐れない。
いくつになっても挑戦できる。

ちなみに「栄光への大飛行」は復刊してのちの表題です。
最初は「パパの大飛行」。
個人的にはこちらの方が好みです。
パパ、が大飛行するなんて、わくわくします。
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# 690 ハチは大飛行への助走をはじめてたところ。この日も長年の習慣になった始発電車で出発(路線は違います)朝陽が眩しい日、行ってらっしゃい
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2両編成、車輌にひとり、貸切列車ですね



by hiyoriya1410 | 2016-03-31 06:21 | 絵本とともに | Comments(0)
2016年 03月 17日

「くんちゃんのはじめてのがっこう」と仰げば尊し

きょうはハチの卒業証書授与式でした。
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真っ青のでクリアな空、深呼吸をたっぷりしたくなる、
そんな日でした。

ひとりひとりに卒業証書が手渡されます。
担任の先生に名前を呼ばれて、壇上に上がり受け取る。

授与式が終わると、校長と来賓の祝辞あり、
生徒による送辞と答辞。

そのあとは、全員で起立し、吹奏楽部の伴奏による
《仰げば尊し》と《校歌》を合唱しました。
3番まで歌った《仰げば尊し》にジーンときました。
いい歌だなぁ。

その歌詞と旋律は不思議と体に染み込んだ記憶であることを
思い出させてくれました。

こうした粛々とした"式"という時間が次への切り替えになるのだと、
久しぶりに参列した卒業式に思うのでした。(ハチの小学校卒業以来)

◾️


この絵本ははじめて学校に通う、子どもの期待と不安が優しく描かれています。
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お母さんに送られて学校についたくんちゃんでしたが、
字が書けない、計算ができない、
さされるのを怖がって、隙を見て学校から逃げ出します。
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窓の外からこっそり中を覗くと、
しりとりのような問題でそれならできる、と
教室に戻ります。
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自分にもできること、わかることがある、
それが自信になって、帰り際に先生は
「とても よくできましたね、くんちゃん」といいました。
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喜んで家に帰り、家族に話をする。
最後のページには、先生にプレゼントする花を両手に抱えるくんちゃん。

黒と黄土色の柔らかい線で描かれた挿絵。
べた塗りがほとんど見られないので圧迫感がありません。
空間に余裕があることが、絵本全体の優しさ、につながっているようです。

いつもながら穏やかな時間が流れます。
これが、くんちゃんの世界なのです。
信頼と慈愛。
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悪意を描かない世界は、悪意を否定するものではなく、
肯定しているからこそ、ない世界を存分に描く。
作りものだからこそできるのだと、
くんちゃんシリーズを読んで思うのです。
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以前書いたおなじシリーズの「くんちゃんのだいりょこう
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#691 仰げば尊し、のサビ(今こそ 別れめ いざさらば) に旅立ちの決意を感じます。お気に入りは(忘るる間ぞなき 往く歳月)。(思えばいと疾し この歳月)は(いと年)だと思っていました。はやい、あっという間の〜という意、でした



by hiyoriya1410 | 2016-03-17 23:17 | 身辺雑感 | Comments(0)
2016年 03月 12日

「おりこうなアニカ」と道路の雪のオブジェ

津南町から中里にかけて数キロにわたって
雪の型抜きに灯りが灯されていました。
走っても走っても続いていたのでびっくりです。
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5mごとに円錐に積まれた雪に紅白の提灯、
津南の町に入ると雪の石灯籠は120cmほどの高さ、
最後中里は四角に円筒で40cmほどの高さで作られています。
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十日町に向かうとどんどん雪は少なくなっていき、
山から持ってきたのでしょうね。
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3月のこの時期にこれしか雪がないのは、
20年住んでいて初めてのことです。

風は湿って冷たい日でしたが、
山の景色は春が 近いことを予感させてくれます。

◾️
この春色の絵本は、スェーデンの絵本作家エルサ・ベスコフのもの。


アニカはいくつでしょか。
身長はおそらく75センチくらいでしょうか。
3歳か4歳といったところでしょうか。
小さいながらも家族の一員として、自分のことはもちろん
家の手伝いもこなします。
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表紙のように牛の尻尾をつかむなど、とんでもないことも平気です。
道すがらに出会った自分の背丈ほどもある犬とも自然に会話し、
困っていると森の小人が現れ助けを得て、頼まれごとを無事にすますのです。
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この年頃の子どもたちは、
怖いもの知らずで好奇心旺盛、
自然の中に放たれた子どもは、
動物や小人(妖精?)と会話しているのでは、
思わせることがあるように思うのです。
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なつかしく心柔らかくなる絵本です。
なだらかな黄緑色の遠くまで広がる草原や小人の住む森の中、
クリーム色に伸びる道とかたわらに咲くいろいろな花々、
登場する動物たちもどこかのんびりしてみえます。
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お話し全体に淡い、やさしい色と線で描かれていて、
この絵本をながめると、春の気分を味わえるのです。

過去4冊ベスコフの絵本を紹介しています。

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#692 季節で感じる色はその色そのものよりも、明度や濃淡ですね。気温や湿度で見え方もかわります





by hiyoriya1410 | 2016-03-12 23:31 | 身辺雑感 | Comments(0)
2016年 03月 11日

「時に海を見よ」の贈る言葉

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卒業式を中止した立教新座高校三年生諸君へ。


2011年3月11日、東日本大震災。
冒頭に題した卒業生へのメッセージがホームページ上に公開され、
ツィッターなどから大きな反響を呼び、6月に本書が出版されました。

著者は、立教新座中学校高校校長の渡辺憲司さんです。
専門は日本近世文学、この時教師歴40年。
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3月の卒業メッセージが冒頭にゴシック体で記されています。

これからの日本を生きていく若者へ「贈る言葉」18編と、
教師としてのエッセイ「遅刻を叱れない教師として」1編を書き下ろした本です。
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一部を抜粋。


 誤解を恐れずに、あえて、象徴的に云おう。

 大学に行くとは、「海を見る自由」を得るためなのではないか。

 言葉を変えるならば、「立ち止まる自由」を得るためではないかと思う。現実を直視する自由だと言い換えてもいい。

(中略)

 「今日ひとりで海を見てきたよ。」

(中略)~時間は管理される~

悲惨な現実を前にしても云おう。波の音は、さざ波のような調べでないかもしれない。荒れ狂う鉛色の波の音かもしれない。

 時に、孤独を直視せよ。海原の前に一人立て。自分の夢が何であるか。海に向かって問え。青春とは、孤独を直視することなのだ。直視の自由を得ることなのだ。大学に行くということの豊潤さを、自由の時に変えるのだ。自己が管理する時間を、ダイナミックに手中におさめよ。流れに任せて、時間の空費にうつつを抜かすな。

 いかなる困難に出会おうとも、自己を直視すること以外に道はない。

 いかに悲しみの涙の淵に沈もうとも、それを直視することの他に我々にすべはない。

 海を見つめ。大海に出よ。嵐にたけり狂っていても海に出よ。

 真っ正直に生きよ。くそまじめな男になれ。一途な男になれ。貧しさを恐れるな。男たちよ。船出の時が来たのだ。思い出に沈殿するな。未来に向かえ。別れのカウントダウンが始まった。忘れようとしても忘れえぬであろう大震災の時のこの卒業の時を忘れるな。

 鎮魂の黒き喪章を胸に、今は真っ白の帆を上げる時なのだ。愛される存在から愛する存在に変われ。愛に受け身はない。


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全文のメッセージがいまも学校ホームページで閲覧できます。


この本を2012年1月にラジオを聞いて知りました。
渡辺憲司さんがゲスト出演されて、出版の経緯やメッセージの反響の大きさに
驚いた様子などを語っていました。
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全文をアナウンサーは朗読していました。
さまざまな景色を思い出していました。
高校生だった過去の自分に聞かせたかったとか、
その後を経験して実感する言葉に涙したのでしょうか。

3月になると、このメッセージを思い出します。
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#693 この春、19になるハチに贈ります

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by hiyoriya1410 | 2016-03-11 11:11 | 身辺雑感 | Comments(0)
2016年 03月 03日

【漫勉】の萩尾望都のペン先とその漫画

Eテレで3日から第2シーズンの放送が始まった[浦沢直樹の漫勉]は、
漫画家の浦沢直樹さんが漫画家を訪ねて
創作の様子を事細かに記録するというもの。
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萩尾望都さんお気に入りの神田の喫茶店で映像を見ながら語る


そもそも漫画家さんの手法は門外不出、その手法も千差万別。
そのペン先を記録して漫画が誕生する瞬間を記録しています。
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きちんと下書きにする漫画家さん、と浦沢氏
さいとうたかを氏はアタリでいきなりサインペンで眉を書き出していた
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こんなアップで萩尾望都さんのペン先を見れるとは!
感動!
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今回は放送される4人の中に、萩尾望都さんが!
3月3日午後11時から放送。
中学2年からの大ファンです。
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手塚先生の「新撰組」がプロになりたいと強く思ったきっかけ
(手塚治虫氏のドキュメンタリー番組の概要記事)
横山光輝先生の絵をよく真似ていた
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場面構成が独特


10代でデビューしてから48年、
ずっと第一線で作品を発表し続けているのは、スゴいの一言。

番組はもっぱら萩尾望都さんのペン先に集中して、
"あの絵"が生まれる瞬間を見せてくれました。
これまたスゴい。
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完璧な下書きにペン入れ
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完成、指に爪を描かないことで、瞳のかんじょうえが際立つ


今現在連載中の「王妃マルゴ」の場面を
繊細に描き、演出していきます。
驚く瞳、強く握りしめる手、トーンでの場面の強弱のつけ方
(ご自分でトーンを貼っていました)
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左のマルゴ、トーンでロウソクの揺らぎを表現

見入っていたらあっと言う間に番組は過ぎて、
今も絵を描くのは難しい、といい
描くことが楽しそうなのです。

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ペン先に指がかかっている、と浦沢氏が指摘
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アンリの手の握りにこだわり何度も修正
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35年間同じ仕事場

描いてた「王妃マルゴ」の最新刊

好きな作品を語りだしたらキリがないのですが、
特に印象に残っている作品についてざっくりと。

「ポーの一族」なんと23歳の時とは驚くばかり。ラストシーンが切なく美しい。
「トーマの心臓」過去の出来事が現在の出来事、人で救われる。(「3月のライオン」の零君もひなたに救われていました) スピンオフ作品ともいえる「訪問者」オスカーがお気に入り。
「11人いる」SF作品、凄いといつも思う。「スターレッド」80年代のSF3部作、2000以降の「バルバラ異界」「AWAY」その世界観の構築が見事。いつも圧倒されます。NHKで実写ドラマになったのを今も覚えています。
「百億の昼と千億の夜」「ウは宇宙船のウ」「AWAY」など原作もの、原作と読み比べてみたり。
初期の「ケーキケーキケーキ」最近の「なのはな」短編も魅力的。
「柳の木」はセリフのないコマ割りも均一で、叙情と情緒が一体化された作品。
「半神」が遊民社で舞台化(観に行きましたよ本多劇場)には驚かなかったけれど「イグアナの娘」がテレビドラマ化されるとは。
「残酷な神が支配する」は読み進めるとつらくなった作品。サスペンス、心理劇として、不条理など、頭の中でぐるぐる。
「ここではない どこか」シリーズは小説を読んでいるよう。市井の人に歴史あり。

14歳で読み始めて今も同じ作家の作品が読めるなんて
奇跡なのでは、と思うのです。



#694 雛人形のある景色はやわらかい
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この雛人形の以前の記事




by hiyoriya1410 | 2016-03-03 23:39 | 見たものイロイロ | Comments(0)
2016年 03月 02日

『おいしいもののまわり』の美しさ

料理とは命をつくる仕事である。ゆえに、料理はつくる人が主役でなければならない。つくる人は、料理の背景にある大自然、その土地の風土に育まれた食材を生かし、歴史的事件に影響されながらも、もっとも最善の調理法を見い出してきた。土産土法をもって、民族の命を健全につないできたのだ。〜
料理することはすでに愛している。食べる人はすでに愛されている。それを当たり前のことと信じて疑わない。そうして、料理をつくる人が食文化を担っている。

〜真のおいしさとは、舌先で味わうのではない、肉体が感じる心地良さ、ひとつ一つの細胞が喜ぶものなのだ。




「おいしいもののまわり」の"はじめに"に書かれている文章から一部を抜粋。
表紙の帯には、
おいしいものは美しい。
日本の「お料理する」「食べる」を知る、32の話。

装丁や本文のレイアウト、写真などどこか懐かしい雰囲気で、
読んで不思議とすっきりしたのです。
凛とした佇まいが全体に感じられる本、美しいです。
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白いエプロン、より

土井先生といえば、[きょうの料理]でおなじみです。
後藤アナウンサーとの絶妙な掛け合い、親しみやすい関西弁で、
さりげなく料理のあれこれを語ってくれる。
この本は「おかずのクッキング」の連載をまとめなおしたもの。
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お茶をいただく「お湯のみ」の話、より

お茶碗のごはんをよごしてはいけない、
は番組で聞いたのか、本で読んだのか、妙に得心したのです。
そんな、お米やごはんにまつわるお話もあります。
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包丁するという調理法

冷めたごはんのごはんのおいしさを教えてくれたのも土井先生です。
〜おひつ ご飯のおいしさ考、お料理の温度のむずかしさ〜に書かれています。
あっ、便利な洗い米も、です。
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目次

内容は、以下のとおり〜Amazonより
台所のお布巾/計量とレシピと感性と/お料理をする箸/玉じゃくし/味をみること・味見皿/パイ缶・保存容器/おひつ ご飯のおいしさ考/季節を感じること、信じること/水を料理する/混ぜ合わせる/洗いものから学んだこと/食の場の区別/茶碗の感性/日本のだし汁/海苔の香り、胡麻の香り/包丁するという調理法/大根の一年/日本のお米 日本のご飯/お料理の姿 人の姿 など

この本で、ますます土井善晴さんのファンにlなりました。

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#695 3月になっての猛吹雪にはびっくり。空気が洗われるようで気持ちイイ



by hiyoriya1410 | 2016-03-02 23:57 | 食のまわり | Comments(0)